タカラヅカとご贔屓と私

いつも心に黒燕尾

ちぎみゆ退団公演・雪組『幕末太陽傳』を観て、「トップコンビ」というものについて考えた

先日、雪組公演『幕末太陽傳』『Dramatic “S”!』を観劇してきた。トップコンビ・早霧せいな様と咲妃みゆ様はじめ、大切な雪組生が合計7名も卒業してしまう涙の退団公演である。つらみしかない。

とはいえそこはさすがの早霧せいな様、カラッと明るく爽やかなお人柄にふさわしく、たくさん笑って元気をもらえて、少しほろっとする人情コメディだった。軽妙さというか、肩の力の抜けた感じで笑いを誘いつつ、優しく語りかける時はめちゃくちゃ心をあったかくしてくれる。最高。私も相模屋で働きたい。わちゃわちゃした雪組生に囲まれて賑やかに日々を送りたい。

ショーは王道の退団ショーと言ってしまえばそれまでだけど、「ドラマティック!エスエス!」と早霧せいな様のイニシャルを叫びまくる主題歌にはじまり、トップコンビのダンスを堪能できるブライアント先生のかっこいい振付場面、次期トップコンビがメインの場面、雪組恒例の『絆』をモチーフにした場面、男役の黒燕尾に白いお衣装でのデュエットダンス、「私の好きな人のイニシャルはエス〜♪」と咲妃みゆ様の公開のろけ歌銀橋渡りと盛り沢山で、最終的にポロポロ泣いた。とてもいいショーだった。後ろの席の方々も号泣してて、「めっちゃ泣くやん!こんなんあと12回も観るの無理じゃない!?」とのこと。12回、存分に泣いて下さいね…。

 

ところで私のご贔屓は麗しの花組トップスター・明日海りお様で、贔屓組も花組である。であるけれども、私は雪組トップコンビ・早霧せいな様と咲妃みゆ様、通称「ちぎみゆ」が大好きでもある。もう見るたびニコニコしちゃう。2人が並んでると無条件に嬉しい。ゆうみブレイクは毎回鬼リピしている。

どこがいいかと聞かれると、2人の相性の良さとかお互いへの信頼感からくる雰囲気の良さがとにかく最高!という意味での「ラブラブ感」がとてもいい。ただ、何となくこの表現に引っかかるものを毎回感じてもいる。それは自分がどこかで、「まぁ2人とも女性だけど」とか「ヅカオタじゃない人からすると、男役・娘役の組合せをカップル扱いする見方に引いてしまうところもあるのでは」とか考えているからだと思う。

ヅカオタの中でも色んなタイプがいて、男役を理想の男性として好きな人、「男役」というファンタジーとして好きな人、ただ美しいものが好きな人と様々なわけで。例えば私は明日海りお様がご結婚されたら超祝福するし、さぞ美しいだろう花嫁姿がめちゃくちゃ見たい。どうにかして見たい。近しいOGジェンヌ様のインスタとか超チェックする。一方で友人の中には男役の結婚とか超ショック、本名とかも知りたくないタイプもいる。十人十色の「好き」がある中で、私は男役も娘役も「夢を叶えた、もしくは夢に向かって頑張っている同じひとりの女性」として好きで、応援しているところが少なからずある。畏れ多くも。ヅカオタにだけ年齢がバレるけど、私は中卒合格してたら88期なので、心の中で88期の皆様を勝手に同期だと思っていたりする。88期が活躍してると嬉しいし、退団しちゃうとめちゃくちゃ寂しい。これはヅカオタあるあるですよね…?

話がズレたけど、そういう視点の私から見たタカラヅカにおけるトップコンビの素晴らしさとは何かをじっくり考えてみた、というのが本日の主題です!

①男役も娘役も、コンビでいるからこそ発揮される魅力がある

言わずもがなトップスターはその組の男役の頂点に立ち、トップ娘役は娘役の頂点に立つ。それぞれその素晴らしさを認められた最高のふたりなので、単体でも魅力的なのは間違いない。ところがコンビになると!そこに「相手役に対してどうであるか」という魅力が上乗せされるのである!!

ちぎみゆで言うと、ちぎさん(早霧せいな様)のゆうみちゃん(咲妃みゆ)への態度は、雪組副組長の奏乃はると様曰く「思春期の中学生のよう」(宝塚GRAPH 2015年9月号)。ゆうみちゃんが司会を務める番組コーナーで、わざわざ2番手・望海風斗様と2人でハートマークを作って、「こっちの方がラブラブだから〜」みたいな分かりやすいことをする。と思えば雑誌の単独インタビューではゆうみちゃんをベタ褒めしていたりする。そして対するゆうみちゃんも、歌劇のポート撮影にちぎさんからプレゼントしてもらった帽子を持って臨んだりする。こういった一つ一つが、舞台上とはまた違った「男役・早霧せいな様の魅力」であり「娘役・咲妃みゆ様の魅力」なんだと思うし、それが見られるのは相手役がいてこそ。ちぎみゆは特にこういうエピソードがたくさんあって楽しいな〜!!

②女性同士のバディ、運命共同体としての魅力がある

例えが古いけど『ナースのお仕事』の朝倉いずみと尾崎先輩や、最近読んだ小説『書店ガール』の西岡理子と小幡亜紀のような女性コンビが好きなので、その観点から見てもトップコンビは最高である。男役の方が学年が上なので、トップコンビは先輩・後輩の間柄でもある。出身地も年齢も違う2人が、同じ「舞台人」として互いに切磋琢磨してより良いコンビを目指すわけで。片方は男役、もう片方は娘役という、それぞれのプロフェッショナルな部分を持ち寄って最高のコンビになろうとしている。なんせトップコンビは組の看板とも言えるので、その責任を担う2人はある意味で運命共同体といえるんじゃないかと思うし、私はそこにめちゃくちゃ物語性を感じてしまう。

これもちぎみゆで言うと、2015年のレビュー本でのちぎさんインタビューがとても良かった。

「常々、彼女には、ふたりの雰囲気が雪組の雰囲気になって、みんなに影響するから私たちの空気感を大切にしようねという話をしています。彼女はそれをちゃんと理解してついてきてくれているので、とても頼もしい相手役です。」(TAKARAZUKA REVUE 2015)

これ。これです。このふたりでひとつのことを担っている感…そして後半のちぎさんのフラット感…!読んだ時に、ちぎみゆはいいトップコンビだなぁと思ったのを覚えている。

 

結論として、男役・娘役としての魅力が多角的に&より強く発揮されるのがトップコンビの素晴らしさであると思う。男役は娘役を愛してこそ、娘役も男役を輝かせてこそ!そういう意味でちぎみゆはほんとうにパーフェクト!!

あとはもう、男女とか女性同士とか細かいことをすっ飛ばして、人としてお互いを大切にしていて気持ちが通じ合っている人同士の関係は見ていて幸せになるよねっていう、そういうことです。ちぎみゆに幸あれ!!!!