タカラヅカとご贔屓と私

いつも心に黒燕尾

星組公演『阿弖流為 –ATERUI–』 感想

奇跡的にチケットが取れた勢いで原作小説を買って、号泣しながら読み切って、原作を好きになりすぎて舞台化に少しの不安さえ抱きつつ観に行った阿弖流為。観劇から2週間以上経っているけど、いまだに「阿弖流為…良かったな…」と思い返している。それも「観劇した舞台の記憶」というよりは、「同じ時代を生きた仲間達との思い出」みたいな感じで、しみじみと浸ってしまう。気持ち的には胆沢の民。それぐらい、登場人物が舞台上で生きていた、とても良い作品でした!
全場感想を書くと1万字超えそうなので特に印象に残った場面のみですが、例によってネタばれしているのでご注意下さい。

 

第一場 プロローグ(伊治城)

幕開けは朝廷が蝦夷(えみし)の地に築いた伊治城内で神事を行っている場面。舞台上には4枚の縦長映像パネルがあり、そこに映し出された岩がどうやら神聖なもののようで。巫女達が蝦夷の神を祀っていることを輝咲玲央様@紀広純(きのひろずみ)に咎められる壱城あずさ様@鮮麻呂(あざまろ)。しーらんこと壱城様の抑えた芝居と、髭をつけても隠せない美…シリアスな場面なのにときめいてすみません…とか思って見守っていると、まずは神聖な岩を斬ってしまう紀広純。夜の相手を巫女に命じ、拒んで抵抗した巫女をそれならばとこちらも嘲笑しつつ斬り捨てる紀広純。開演して10分足らずで憎々しさがすごい。
目の前の惨劇に何も出来ず、紀広純が去ってから亡骸を抱きしめ、「許せ、我が妻よ…」と涙を流す鮮麻呂様。この場面は大野先生の創作だけど、「朝廷側がいかに蝦夷を蔑み、人として扱っていなかったか」「鮮麻呂が領地の民を守る為、いつか立ち上がる時の為にどれだけの苦しみを抱えて服従していたか」ということが観客に分かりやすく提示された導入部だったなぁと思う次第です。

鮮麻呂様がいつか蝦夷は立ち上がる、と語るのに合わせて4人の将に順にスポットが当たる演出、ベタだけど超かっこよかった〜!黒石の母礼(もれ)!江刺の伊佐西古(いさしこ)!和賀の諸絞(もろしま)!志和の阿奴志己(あぬしこ)!背後でそれぞれの名前が映像パネルに表示されて、小説でめちゃくちゃ慣れ親しんだ皆が…字面だけでアツい…と思ってたら、最後に主役の阿弖流為(あてるい)が真ん中から登場するわけで…!!
登場した瞬間から、わーーーなんかめちゃくちゃ阿弖流為!この若武者感!ヒーロー感!というオーラがあって、それだけで泣きそうになりましたね…。でも蝦夷チームの爆踊りが始まったので泣かずにガン見!!爆踊りからの歌もほんと最高だったな〜!! 

第二場 胆沢の里

鮮麻呂様が紀広純を討つ計画を聞き、協力を約束する阿弖流為達。その時、何者かが馬で駆けていく音が!「しまった!計画を聞かれた!」と血相を変える阿弖流為達!「わああ!めっちゃ好きな場面来ちゃう!」と心臓がバクバクし始める私!!

疾走する二頭の馬が中央パネル2枚、逃げる飛良手(ひらて)と追う阿弖流為の横顔がそれぞれ左右パネルに映されて、なんていうかゲーム画面ぽさがあった。阿弖流為が飛良手に飛びついて地面に転がったところで、二人がパネル裏から登場。天華えま様の飛良手、ビジュアルが私の飛良手のイメージにドンピシャでした…武闘派らしくワイルドな髪型、シャープだけどちょっと寂しげな目元、顔のおしゃれタトゥーすら飛良手っぽい…実際にはありえないのに…違和感とは…?
胆沢の首領である父親の側近、飛良手の裏切りにショックを受ける阿弖流為。朝廷側に鮮麻呂の計画を手土産に取り立ててもらう、と剣で襲いかかる飛良手と止めようとする阿弖流為の立ち回り、超緊張感がありました。
「俺の村は朝廷軍に襲われ、母者と姉は死んだ!その時、お前達首領は何をしていた!朝廷と戦う?それで犠牲になるのは俺達普通の蝦夷の民だ!」と吐露する飛良手の、「(例え朝廷に服従してでも)俺は母者と姉と生きていたかった!」っていうセリフに胸が締めつけられるし、それに対する阿弖流為の「朝廷に服従して命が保証されるならそうしよう、だが我らを人間と思っていないからこそお前の母上と姉様は殺されたのだ、しなければならないのはそれに対する戦いだ!」という主張にもハッとする。
合流した仲間達に裏切り者として殺されそうになる飛良手を庇った阿弖流為の「お前こそ蝦夷の魂だ」「蝦夷が自由に生きられる未来を見たくはないか!」という言葉の熱さに、飛良手の心に炎が灯ったのが感じられてすごく良かったし、私の心にも灯ってちょっと泣きましたよね…。
これ以降、飛良手は阿弖流為の腹心の部下として最後まで行動するようになるんですけど、めちゃくちゃ熱くないですか…!本当まこっちゃんのヒーロー感たるや…私も阿弖流為についていく…!!

 

第三場 平城宮ほか

変わってチーム朝廷。全然チーム感ないけど…。こっちもめちゃ個性が濃くて、まず万里組長のまさかの男役・桓武天皇が高貴なイケおじ様すぎて二度見。滲み出る「格」がすごい。
そんで参議達のキャラも強くて、中でも夏樹れい様の紀古佐美(きのこさみ)はイラッと感とコミカルさが絶妙のハーフアンドハーフ。高い声が醸し出す小物感としぶとさ、傲岸さと間抜けさ。後半にかけても出番が多いのも納得の存在感。
そんな中、唯一まともな瀬央ゆりあ様の坂上田村麻呂。普段のせおっちからは想像もつかない、シュッとした都の武者感!かっこいいよせおっち〜!でも普段のせおっち(「あなたの心にテレポーテーション☆」とか言ってる方)も好きだよ〜!
有能であっても年若く地位も低く、参議達を抑えることが出来ない田村麻呂・無能だけど地位があり、蝦夷討伐を出世の為の手柄のひとつとしか考えていない参議達・生母の地位の低さから参議達に内心軽んじられていることを感じている帝、という朝廷事情。めんどくさいトライアングル~!音波みのり様@坂上全子が可愛いのだけが癒し~!て感じでした!

 

第四場 黒石の河畔

阿弖流為の軍師、みんな大好き母礼(もれ)は綾鳳華様!!あやなちゃんの母礼、キャスト発表時から最高の予感しかしてなかったけど、やっぱり最高の母礼だった〜!
原作の母礼は「クールだけど内面は熱い知性派」て感じだったけど、綾鳳華様の母礼は「穏やかだけど内面は熱い知性派」な印象。阿弖流為よりちょっと年上(原作だと七歳上)で目元が優しくて、でも要所要所で母礼も蝦夷の男なんだな…ってちゃんと分かるし、分かるたびにときめき放題!!
鮮麻呂様の計画も、阿弖流為達が自分に会いに来ることも全部見通していて、「もう策も立てた」てさらっと言うところも原作通りだけど、原作より色々削られてる中で自然に成立させる綾鳳華様がすごいし、「策を!?」てびっくりしてる阿弖流為達がかわいかったな〜!

 

第九場 都の酉市

大野先生、上手く作ったなぁと印象に残っている場面。阿弖流為達が都に行く場面は原作ではもっと後半だけど、ここへ持って来て菟穂名(うほな)や鮮麻呂様のエピソードを詰め込みつつ、阿弖流為達の都人お衣装姿や酉市のお祭りでダンス場面も楽しめて、まさにヅカ演出家ならではの手腕かと!
ヒロインの佳奈の義弟(亡くなった夫の末の弟)菟穂名を演じたのは天彩峰里様。あんなにかわいらしいエンジェル峰里様、快活な少年役もお出来になるなんて…。
見世物のように移動式の牢に入れられたまま引き出され、人々から石を投げられてる蝦夷が鮮麻呂様と気づいた瞬間、本当に言いようのないショックを受けた。鮮麻呂様は紀広純を討った後、この騒ぎが蝦夷全体の反乱となれば朝廷側の大規模な報復があることを恐れ、阿弖流為達が力をつける時間を作る為に自分一人の責として捕らえられたわけで…。
蝦夷だと、その理由だけで痛めつけられる幼い菟穂名、救おうと飛び出して窮地に陥った佳奈と阿弖流為。皆を守る為に衆目を集め舌を噛み切る鮮麻呂様。ここの壱城様の芝居が凄くて、「鮮麻呂様ならきっとこうしたに違いない」と思わせてくれたし、めちゃくちゃ泣けた。

 

第十一場 都の酉市

木に吊るされ、晒されていた鮮麻呂様の首を、下ろして弔ってくれる田村麻呂。都の人間の酷さを見せられた後なので、より一層田村麻呂のまともさに感動する。全編通して原作ほどの見せ場はなかったけど、田村麻呂の腹心の部下・御園(漣レイラ様)もキャストに入っていて嬉しかったな〜!
そんで客席の中通路に現れる阿弖流為!鮮麻呂様を弔ってくれたことにお礼を言う阿弖流為…都人の非礼を詫び、しかし阿弖流為達が潜んでいたことを見抜いていた田村麻呂…。この立場は違えどお互いの力量と人間としての器を認めている感!!しかもそれが礼真琴様と瀬央ゆりあ様という同期のお二人!!改めてこの激アツ案件がすごい2017!!阿弖流為と田村麻呂が相見える大切な場面、めちゃくちゃドキドキしたし、第一幕のハイライト感があって超良かった!

 

第十二場 都の野辺

母礼の妹でヒロインの佳奈。原作ではそれほど書き込みがなく、「兄と同じくしっかり者の妹」ぐらいの印象だったけど、今回の「嫁いだ先の村が朝廷に襲われ、一人生き残った」という設定を違和感なく成立させる有沙瞳様の説得力よ…!たった一曲のソロで佳奈が歩んできた人生や辛かった気持ちが超伝わってきたし、ここでも泣いた…。
歌ウマでちょっとお姉さんな雰囲気、十八番は「天城越え」のくらっち、ひそかに応援してる!!
そこへやってくるまこっちゃん阿弖流為の包容力もまた最高なわけで。「俺では不足か?」って。私なら「俺ではふそ「いいえ!!」て食い気味にいっちゃうところ、くらっちの情緒的かつ気持ちが溢れ出す感じ、さすが元人妻。野辺の煙も空気を読んでいつの間にか消えている中での二人のデュエット、最高でした…!!

 

第二幕 第十三場 巣伏の河畔

史実にも蝦夷の圧倒的勝利の記述が残っている巣伏の戦い。川を利用して丸太を上流から流し、ほとんど戦わずして大勝利をおさめたことが(主に夏樹れい様の抜群の転がされっぷりで)表現されてたけど、どんどん策が成る面白さは是非とも小説を読んでいただきたい!でもそれはそれとして、やっぱりチーム蝦夷がいけいけドンドンで攻めてるところはわくわくするし、本当にみんなかっこよくて大好きです!

 

第十五場 黒石の里

チーム蝦夷の平和なわちゃわちゃタイム。ヅカ版では各地の将達がみんな阿弖流為と同年代の設定なので、青春ぽさがあるのが新鮮に感じる。先頭に立って戦ったことを母礼に叱られたり、誰が告げ口したんだと慌てる阿弖流為、すまん俺だ!て挙手する伊佐西古とか、原作のキャラクターを引き継いでるのがとても良い…ちゃっかり滝名(都で阿弖流為達の手助けをしてくれた蝦夷の女)とデキてる飛良手も愛しい…。
佳奈とのイチャイチャ弓練習も束の間、自分を狙う気配に気がつく阿弖流為。物語後半のヤマ、蝦夷内部の揺らぎが提示されて一気に緊張が高まるとか、大野先生お上手すぎるな〜!

 

第十六場 都近郊の子嶋寺

滝にうたれてる田村麻呂様。下ろしたおぐしがセクシーだけど、私はきっちりすっきりスタイルの方が好きかな…。そして始まる田村麻呂'sブートキャンプ。せおっちはかっこいい、かっこいいんだけど、本当にごめん、真顔すぎてちょっと面白くなっちゃった!申し訳ない!でも大好きだよ!!

 

第十七場 胆沢の里

伊佐西古:「策はある!なぁ母礼!!」
母礼:「いや、策はない」
伊佐西古:「ほら見ろないのだー!…え、ないのか?」
っていうやりとりの伊佐西古が最高に伊佐西古!!ひろ香祐様の朗らかでユーモア担当:伊佐西古もハマってたな〜。

阿弖流為の最後の策、ちょっと説明不足だった気がするというか、ただ単に阿弖流為が仲間の命乞いの為に自分一人が降伏する感じになってたような…。
長く続く戦の中で、戦の始まりも知らず、疑問を持つ者もいる→その者達に道を選ぶ時間をやりたい、数十年の平和が欲しい→その為には降伏ではなく対等な和議と、最後まで誇りを持って戦った証を残したいというのが阿弖流為の考えな訳で。無粋ですが小説を引用すると、

母礼は笑いで伊佐西古に言った。

「まさかわざと孤立を装うなどだれにも考えつかぬ。それで我らばかりが朝廷に抗う者となれば、他の蝦夷らはもはや逆賊でなくなる。朝廷も我らを退治するためには仕方なく他の蝦夷と手を組まざるを得なくなる。そうなると同盟軍。同盟を結んだ蝦夷らを処罰はできぬ。むしろ今後は味方として丁重に扱うことになる。(略)」

という…やっぱ母礼かっこいいな…。そしてその母礼が、一人で降伏すると言い出した阿弖流為を泣きながら殴る場面…はさすがに無かったけど、「子や孫らのために死んでくれ」「その覚悟などとっくにできている」のやりとりがあって嬉しかったし、ここも泣けた…。イメージでは苦笑いしつつさらりと、て感じだったけど綾鳳華様の「とっくにできている!!」っていう力強い言い方もめちゃくちゃ良かった…!!

 

第十八場 東和

最後の決戦。大劇場公演の半数の人数での公演だけど、朝廷側は娘役さんも動員+長い槍を使ったりして、なかなか迫力ある立ち回りだった。まさか諸絞の顔火傷エピソードをヅカ版に持ってくるとは思ってなくて、大野先生には感謝しかない。
仲間割れを装う為に殺したことにした諸絞が一緒に戦っていれば策がバレる。だから戦には参加せず生き延びてくれ、と阿弖流為達に言われたのに、一緒に戦って死にたい、こうすれば顔も分かるまい!て自分で自分の顔に火をかける壮絶さ…。諸絞は阿弖流為と序盤に確執があった相手だからこそ、よりグッときました。

 

第十九場 平安宮

ここの桓武天皇が怖くて…阿弖流為達の助命を嘆願する田村麻呂に対して、「民が私を称賛しておる声が聞こえぬか、見ろ、貴族達も何も言えずにおる」というようなセリフがあって、個人的な復讐心のようなものが垣間見えてぞっとしたし、冷徹な眼差しに呆然としてる田村麻呂の気持ちを思うとやりきれなかったな…。あの威圧感、組長さすがです!

 

第二十場 河内国の牢

表向きは都が汚れる、内心は都に入られることすら脅威と感じられたため、都ではなく離れた河内で処刑されることになった阿弖流為と母礼。処刑はヅカらしくさらりと暗転で処理されたけど、最後に阿弖流為が「蝦夷は鬼でもない。子や親を愛し、花や風に喜ぶ…。蝦夷に生まれて俺は幸せだった」と原作と同じ言葉を叫んでくれて、目頭が熱くなって涙がこぼれた。
そこからダメ押しの飛良手。生きることを許されたのに、阿弖流為と母礼の最後を見届けた上で後を追いにきた飛良手の潔い笑顔…介錯をする田村麻呂の方が泣きそうで…あぐらをかいて座る飛良手の、堂々とした背中…なんかもう今思い出しても泣けてくる…。

 

第二十一場 蝦夷の国

蝦夷の国を田村麻呂が訪れるラストシーン。佳奈と子供がひとり、地面に落ちた花びらを集めて空中に放って遊ぶ、穏やかな情景を見ながら語る田村麻呂。感情が入りすぎて、せおっちが「スンッ」て鼻をすする音がマイクに乗っちゃったりしてたけど、めっちゃ分かるから許すよ!せおっちのそういう気持ち溢れがちなところも好きだよ!ってなったし、最後に阿弖流為が現れた時は客席がせおっちどころじゃない鼻すすりっぷりで。ヅカは最後に晴れやかな姿を見せてくれるから好き…。

フィナーレもわりとガッツリめで、余韻を吹き飛ばす和JAZZとか最高でしたね…一緒に観てた先輩はびっくりしたらしいけど、私はタカラヅカのこういうところが超愛せるので全然ありです!珍しい民族系和衣装でのデュエットダンスもなんだか素朴で柔らかい雰囲気がめちゃくちゃ良かった〜!

 

原作小説を大胆に再構成しながらも、大切なところはしっかり押さえてあって、大野先生お見事としか!途中まこっちゃんperfumeのようにパネルの映像とシンクロして戦うシーンとかもあったけど、意欲的だっということで!何よりプログラムにも細かく人物紹介や実在・架空など明記されていて、阿弖流為に対する情熱を感じました。

ここからは完全に余談だけど、観劇後阿弖流為への気持ちが高まりすぎて、プログラムにも載っていた枚方市の「アテルイ首塚」と隣接する片埜神社へ参ってきたりした。写真は記念の石碑と、阿弖流為と田村麻呂のお守り・ご利益は友情というやつ!!記念碑の右奥にあった首塚には真新しい花が供えられていたので、今でも途切れずにお参りする方がいるんだなぁと阿弖流為人気をしみじみと感じたり。

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小ぢんまりしてて良い神社と公園だったので、お近くの方は是非!あと原作小説も是非!まこっちゃん達を思い浮かべながら読むと、面白さがうなぎのぼりの天井知らずです!!以上、「気持ち的には胆沢の民」がお送りしました!!

 

もしもキャッツをタカラヅカで上演するとしたら

私がミュージカルを好きになったきっかけは、高校の芸術鑑賞で見た劇団四季の『キャッツ』だ。この世にこんなにおもしろいものがあったのか!とだだはまりして以来、私はキャッツとともに歩んできた。

他県まで観に行く「遠征」を初めてしたのもキャッツ、チケット発売初日に夜明け前からぴあに並んだのもキャッツ、初めてミュージカルを通じての友人が出来たのもキャッツ。大学生になって人間関係に悩んでいた時も、めちゃくちゃ乙女状態で恋してた時も、就職直前にも、就職して激務に押し潰されそうな時にも、キャッツを観ていた。

そして先日、怒涛の組替え人事が発表された翌日にもキャッツを観た。何度観ても最高だし、めちゃくちゃ楽しかった。何より駆け出しのヅカオタとして新たな視点を手に入れた私には、そう!「この猫はタカラヅカでいうと誰がいいかな〜」という楽しみ方もできたのでした!というわけで前置きが長くなりましたが、『もしもキャッツをタカラヅカで上演するなら』夢のキャストを発表します!!キャスティング対象は2017年7月22日現在在団している現役ジェンヌ、紹介順は四季さん公式ホームページのキャラクターページ順です。

 

マンカストラップ/望海風斗(雪組

行動力と正義感にあふれる、頼れるリーダー猫は歌劇団イチの真面目越ジェンヌ・だいもんにお願いしたい!!だいもんマンカスの「生まれたのか?」で始まりたいし、ジェニエニドッツの朗々としたソロが聴きたい。ええ声の「ジェリクルキャッツよ、舞踏会の支度を!!」でブチ上がりたいし、マキャヴィティを追いかけて客席通路を鬼の形相で駆け抜ける姿を見たい。あとスキンブルナンバーでのヤクマン、毎公演めちゃくちゃアドリブ考えてきてくれそうで最高だし、それだけでリピーターになっちゃうな〜!!

タントミール/伶美うらら宙組

セクシーでミステリアスなシャム猫は美の女神・うらら様に。あの難易度激高いお衣装とモードなメイクもうらら様なら素晴らしく似合いそう。ネーミングで客席を冷たく見下ろして欲しいし、ぞくぞくドキドキさせて欲しい。そんで握手の時は打って変わって柔和な女神スマイルで骨抜きにして欲しい…。2幕冒頭のディミータとの一触即発のやつの、あのピリピリ感も美しさゆえピリピリMAXになりそうですごく観てみたい!

ジェニエニドッツ/純矢ちとせ(宙組

世話好きなおばさん猫はせーこ様で!せーこ様の「ハイ、ハイ、ハァーイ!」めちゃくちゃ聞きたいし、あの弾けた笑顔のパワフルタップはすごく楽しいと思う!お衣装はタカラヅカパワーで、モコモコ毛皮を脱いだあとのオレンジのやつを是非脚が見えるようにアレンジして欲しい。せーこ様の美脚、活かさない手はない!!あとバストファージョーンズの「♪見事に太るだけ〜」とか「♪金と力がね」とかの合いの手的なところも、せーこ様の愛嬌で絶妙になると思う!!

ラム・タム・タガー/朝夏まなと宙組

モテモテセクシーなあまのじゃく猫はなんとしてもまぁ様にやっていただきたい!!最高のタガーになることがもうね、間違いないので!!演出無視して全雌猫が追っかけちゃうし、客席からもキャーキャー言わせて欲しいし、連れ去りタガー席はチケット発売日に全日程分が秒でなくなる。まぁ様タガーに連れ去られたら一生の思い出になるだろうな…!あとだいもんマンカスとまぁだいコンビで長老猫のナンバーを歌ってもらえるのも最高に幸せ。そんでミストフェリーズのナンバーで踊るまぁ様タガーの影を見て、そのスタイルの良さに釘付けになりたい!!

アスパラガス=グロールタイガー、バストファージョーンズ/早霧せいな雪組

この3役を全部最高!って思わせてくれるの、ちぎさんしかいないと思うんですよね…!街一番の金持ちで政治が大好き、リッチでグルメで憎めないバストファさん。グリザベラの場面でシン…と静まった客席が一気に明るくなるバストファさんの「いらっしゃぁ〜い!!」、ちぎさんのめちゃくちゃちぎさんな感じの声でやって欲しい。ちぎバストファは絶対可愛いし、みんな大好きになっちゃうと思う。そんで劇場を愛し、年老いた芝居猫ガスと、若かりしガスの当たり役・劇中劇の海賊グロールタイガー。私はちぎさんのお芝居が好きなので、ちぎさんならガスからグロタイの変身で沸かせてくれるし、ガスに戻っての去り際で胸いっぱいにしてくれると信じてる。グロタイのちぎさんはここぞとばかりにスパンコールギラギラの海賊衣装でお願いしたい!

ジェリーロラム=グリドルボーン/咲妃みゆ(雪組

ガス&グロタイがちぎさんなら、もちろんガスに寄り添う優しいジェリロ&グロタイを弄ぶ悪女猫グリドルはゆうみちゃんに決まっているわけで!!ゆうみちゃんのグリドルボーン、最高じゃないですか…?白くてフワフワしたお衣装、ピンク色のグリドル部屋、グロタイを惑わす甘い歌声、コミカルな裏の顔、そしてグロタイを裏切る時の悪女の微笑み…!ゆうみちゃんならどれも抜群に良いだろうし、「私のこと最後に裏切るもんね〜ひどいよね〜」とかちぎさんにイジられるところまで超想像できる。ちぎみゆは最高!!

オールドデュトロノミー/悠真倫(専科)

まりんさんのデュト様、お茶目さと包容力を兼ね備えた最高の長老猫だと思う。昔やってた幕間にデュト様が舞台上に残ってサインしてくれるやつ、まりんさんデュトにやってもらいたい。気さくに話しながらサインしてくれそう。「学生さん?」「はい!受験生です!」「そりゃ大変だ〜」「次の広島公演も楽しみにしてます!」「ありがとう〜」「♪パパ 一緒に連れて行ってよ〜」「♪無理だよ〜」てエリザごっことかしたい!!

マンゴジェリー/水美舞斗(花組

アクロバティックなコソ泥猫カップル、雄猫マンゴは花組の筋肉・マイティーがぴったりかと!キレのある回転、高いジャンプ、ニコニコ全開の笑顔!ちょっとランペルティーザの尻に敷かれる感じのマイティーマンゴ、最高に可愛いな…。ハッ でも良く見たらめちゃくちゃ美猫じゃない…?群舞の時のクールな表情、ヤバない…?て気づいた人から射抜かれるやつが多発すると思う。

ランペルティーザ/彩みちる(雪組

コソ泥猫カップルの雌猫ランペはみちるちゃん。みちるちゃんは絶対猫メイクが似合うから!!首元のパールのネックレスを引っ張って得意げに笑うやつ、完全に想像できるし、想像だけで地面に転がりそうなぐらい可愛いから!!特技が「犬の遠吠えの真似」とかもめっちゃランペっぽくって最高。マイティーとは組も違うけど、だいもんとの思い出をを共通の話題として距離を縮めていって欲しい。

ジェミマ/真彩希帆(雪組

群れの中でも特に若く、人間だとティーンエイジャーな感じのジェミマ。若さゆえの残酷さゴリゴリの、グリザベラを嘲る冷たいソロに毎回しびれているので、きぃちゃんの歌唱力であのパートが聴きたい。若くて可愛くてキラキラしてるジェミマに「♪薄汚い裏町を〜」とか歌われて胸を苦しくしたい。それを経ての2幕の最後、泣きそうな顔でグリザベラの手を取るジェミマとかめちゃくちゃグッときちゃうと思うから…。痛みを知って成長する少女…映画やん…。

コリコパット/暁千星(月組

若手ダンサー枠のコリコパットはありちゃんで!!ありちゃんのダンスは本当にのびのびしてて楽しそうで、見ていてとても気持ちがいい。両脚開脚のコリコジャンプとか爽快感がありそう。あとありちゃんってキュッと上がった口角がすごくかわいいから…ピカチュウみたいな口元というか…なので猫メイクも超似合うと思う…!!

ヴィクトリア/愛希れいか(月組

よくポスタービジュアルにも使われる、純白の雌猫ヴィクトリアはちゃぴちゃん。静寂の中のソロダンス、ちゃぴ様のオーラと美しい筋肉に息をのんで見とれたい。ヴィクトリアも全身白と銀で模様がなく、難易度高めのお衣装だけど、ちゃぴ様ならどんと来いなはず。性格的にどちらかというとおとなしめの雌猫のイメージだけど、マンカスの背中に飛び乗ってマキャヴィティを両手で引っかこうとする攻撃的な一面もあるので、そこでワイルドちゃぴ様にときめきたい!

カーバケッティ/天寿光希(星組

一見ニヒルで控えめ、貴族の紳士のようにお腹の前で手を重ねるポーズが印象的なカーバは星組のロイヤル天寿様で!カーバのメイクは割と特徴的で、口元に大きいブチがあるのと左目のまわりが黒くてギザギザした模様があり、なかなか美猫になるのが難しい。紳士猫という設定なのに、誰がやってもぶちゃカワ路線。しかし我らがロイヤル優等生・天寿様なら!絶対にかっこよくなる!ということを証明して欲しい…史上最高に美しいカーバケッティにエスコートされたい…!

タンブルブルータス/真風涼帆(宙組)&カッサンドラ/星風まどか(宙組

私の推しのこの2匹だけはセットで紹介したい。初めて観た頃から変わらず、雄猫ではタンブル、雌猫ではカッサ1番!お揃いの黒っぽい縞模様ででっかいタンブルとちっちゃいカッサが並ぶ時のときめきたるや…!海外キャッツだと兄妹設定だったりもするけど、四季さんでは恋人の雰囲気が強めでペアダンスの場面もある。タンブルカッサに心ひかれた頃から、私にはヅカにときめく素養があったんだなぁと思う次第で、この猫組トップコンビには次期宙組トップコンビのまかまどを推したい。タンブルは雄猫の中でも特に男性的な雰囲気なので真風にものすごく似合うし、真風タンブルは色気がすごいと思う。そんでカッサはつるんとした小さい丸顔カッサが好みなので、まどかちゃんだと抜群に可愛いし、エミリアの時みたいな大人っぽい表情も見せて欲しい。タイヤの上のデュエットダンス、中でもタンブルがカッサをぐるぐる回す通称・タンブル滑車をまかまどで観られたら…グリザより先に天上にのぼっちゃうな…!

ランパスキャット/瀬戸かずや(花組

みんなの兄貴分・ランパスは花組の彼氏ことあきらで!あきランパスで!!ジェリクルボールのロックパートでボンバルリーナとダンスバトルするところでは強めのニュアンスで踊るあきらが観たいし、バストファさんの取り巻きをしてるみんなの兄貴あきらも観たい。あとあきらの低音ボイスを聴くためにランパスのネーミング席を狙ってチケット取っちゃうと思う。間近で「平凡すぎて、つまらない」とか言われたら、なんかもう、ときめきがすごそう。

ギルバート/宇月颯(月組

グロールタイガーを追い詰めるシャム猫軍団の隊長・ギルバートはとしくん希望!なぜなら少林寺拳法で戦う隊長が観たいから…!ヌンチャクさばきもめちゃくちゃ上手そう。ギルは序盤で空中ブランコしたり、ミストの魔法で飛ばされたりとアクション多めなので、としくんの身体能力をフルに活かして欲しい。あんまり群舞でギルに注目したことはないけど、としくんギルのキレッキレのダンスならどこにいても目を奪われる気がするし、是非奪われたい!!

スキンブルシャンクス/明日海りお(花組

鉄道を愛し、鉄道運行の無事を願って骨身を惜しまず働く「夜行列車のアイドル(公式歌詞)」スキンブルは明日海りお様に。アーネストやビルみたいな、明るく朗らかな青年スキンブルも間違いなく超いいと思うけど、ここは「キザり倒す鉄道猫」という新たな道、いや線路をひた走っていただきたい!「♪列車に乗るのが僕の生きがい 大好きなのさ」では投げキッス、「♪青い目キラリ輝けばシグナルは青〜」ではバチバチにウィンク、「モーニングティーは…薄め?」は客席の誰か1人をロックオンと、脈絡なく客席を釣って釣って釣りまくっていただきたい!!「♪ヤクザなやつも〜」でオラオラ入ってくるだいもんマンカスとの89期絡みも見逃せないし、「♪夜行列車の旅は素敵〜」の優しいソロで胸いっぱいにして欲しい。

マキャヴィティ/鳳月杏(花組

悪事の限りを尽くす、ナポレオン・オブ・クライム!は是非ちなつに。お衣装はね、ちょっと変えて。ちなつ様の超絶スタイルなら何でも着こなせるけど、美しい顔も見られるように顔半分マスクみたいなやつがいいな〜!「最高に美しい犯罪王」というやつで、そういう需要にも応えていって欲しい。あとちなつマキャの何が最高って、マキャヴィティとして登場時以外、通称・黄マキャの時の穏やかな佇まいですよ…。スタイル抜群の美猫ながら控えめな笑顔の雄猫が、犯罪猫と1人2役と知った時、沼に転がり落ちる人が出そうでめちゃくちゃ楽しみ!

ディミータ/仙名彩世(花組

マキャヴィティを恐れながらも魅かれているような、マキャナンバーを歌うお色気雌猫コンビ・ディミータとボンバルリーナ。年下でシャープな印象のディミータは大好きゆきちゃんに。ゆきちゃんのかっこいい低音でセクシーに歌って欲しい。マキャが偽デュト様に化けて戻ってくるところ、ディミータが真っ先に気づいてその背中に飛び乗って偽毛皮をはぐやつも、ゆきちゃんなら超かっこよくやってくれると思う!!

ボンバルリーナ/花野じゅりあ(花組

お色気雌猫コンビのお姉様はじゅりあ様。じゅりあ様しかいない。あの迫力のあるお色気、まったり微笑む時の妖艶さ。じゅりあ様がマキャナンバーを歌うことで、マキャヴィティの凄みが増すというか。でもミストフェリーズのナンバーでマジックの助手に指名された時の、「私?」っていうびっくり顔といそいそ助手を務める姿に、なんなんそのギャップ…ってメロメロになりたい。

ミストフェリーズ/礼真琴(星組

オールドデュトロノミーを救出する偉大なるマジック猫は星組2番手・なんでもできるまこっつぁんで!器用そうなので色んなマジックも鮮やかに見せてくれそう。実力派のまこっつぁんが歌うと「♪いつか夜を招き 星空を作ろう」もほんとに叶う気がする。マンカスにいたずらで魔法をかけたりする大胆さと、デュト様救出マジック後に成功してるか不安で振り向けない繊細さは、下級生の頃から数々の抜擢で鍛えられた強さと、学年相応の若さと重なって、なんかめっちゃグッときちゃうな…!

グリザベラ/美穂圭子(専科)

グリザベラは美穂圭子様しか!!今は年老いているけど、若い頃は名の知れた娼婦だった、という説得力が半端ない。こればっかりは研10やそこらの娘役さんでは太刀打ちできないと思う。隠しきれない気品、哀愁、諦念、それでも誰かを求める心。メモリーの歌詞の全てを理解できなくても、美穂圭子様の絶唱で思い切り心震える体験がしたい…「よく分からないけど、なんかボロッボロ涙が出る」っていうやつ…。

シラバブ/小桜ほのか(星組

若手女優の登竜門、つまりは新公ヒロイン学年の娘役枠!もうめちゃくちゃ候補がいすぎて悩んだけど、いちばんピュアッピュアな子猫感のある小桜ほのかちゃんを推したい。普段からやや浮世離れしてる感、うるうるした瞳、ごめんちょっと別室で叫んできていい?かわいいいいい!!というぐらいの可愛さ。そんで歌の実力も申し分ないので、美穂圭子様とのメモリー二重唱は超聞き応えありそう!

 

こういうの、考え出すと本当に楽しい。あとめちゃくちゃ迷う。せおっちのスキンブルとか、かれーのミストフェリーズとか、音くりちゃんのシラバブとかも観たい…実際こんなキャストで上演されたら、観劇中に目が足りない悔しさで発熱しちゃうけど。以上、キャッツとヅカ、どちらの沼も嗜んでる方は結構いる…よね…?という不安も抱きつつのエントリでした!ジェリクルジェンヌを知っているか!!

七夕のぶっこみ人事あれこれ

2017年7月7日、七夕の今日。宙組の次期新トップスターに真風涼帆様、新トップ娘役に星風まどか様が決定したことが発表された。特に真風涼帆様に関しては順当というか、おめでとうございます!という気持ちしかない。ただ、それだけでは済まさないのが宝塚歌劇団である。天の川がもう、激流。あらゆるものを押し流していく。それはナイルの流れのように…!!(『王家に捧ぐ歌』より)

 

伶美うらら様、ご退団

七夕の前日、7月6日。『神々(の土地)』の集合日にまさかの女神の旅立ちが発表された。宙組の美の女神・伶美うらら様の退団に、めちゃくちゃショックを受けた。いつもどんな役でもとにかく美しくて、美貌パンチというか、美しさに圧倒されることが毎回楽しみで、私が唯一娘役さんでスチールを買ったことがあるうらら様。「絶世の美女」の実写化こと、歌劇団屈指の美貌を持つうらら様。同期のトップ娘役・実咲凜音様を支え、みりおん様とはまた違った魅力で舞台を彩ってくれたうらら様!そのうえあの美貌で関西弁を話し、コメディも超お得意というギャップ界でも最高なや〜つ!!個人的な願望でいうと、真風涼帆様と伶美うらら様のアダルト美男美女なトップコンビを観たかったなぁという想いもあり、つらみが押し寄せてきた。

そして同時に、瀬音リサ様(93期)・彩花まり様(95期)・涼華まや様(95期)もご退団である。娘役を4名も引き連れてのハーレム退団…朝夏まなと様、さすがでは…!でもまぁ様ならきっと4人とも最大限に愛してくれるから大丈夫だよ…!!

 

②芹香斗亜様、宙組へ組替え 

花組の正2番手・芹香斗亜様ことキキちゃんが2017年10月30日付けで宙組へ。2012年4月2日付けで星組から花組に組替えして5年、2015年のカリスタから正2番手として2年以上も花組で活躍してくれているキキちゃんが、なんでこのタイミングで宙組へ!?と、こちらもめちゃくちゃショックで、ノーマークだっただけになんかもう混乱しかない。

思えば花組は鳳月杏様をカリスタ前に月組から迎えて以来、鉄壁の守りで組替え騒動を免れてきた。勝って嬉しい花いちもんめ!!ちなつが欲しい!!ちなつが入ったぞ!!門を閉めろ!!跳ね橋をあげろ!!誰ひとりあげません!!!!的な。そして盤石な体制を築き、今のトップ下5名が最高に好きですねんって…Santeの感想にも書いた通りなのに…つら…本当につらい…。

私はほんわかしたみりキキコンビが好きで、みりお様とキキちゃんが関係性を築き上げてきたこれまでの過程全てが好きで、ずっと支えてくれたキキちゃんには感謝しかない。歌も上達して、芝居もダンスも安定していて、「大らかな自由人」とだいもんに評されつつ、でも真面目で努力家のキキちゃんのことがどんどん好きになった。いずれみりお様からキキちゃんに花組バトンを渡すと当たり前に思っていたので、そうじゃなくなることがとても、言葉にできないほど寂しい。

とはいえ、キキちゃんが組替えする宙組のトップは同じ星組出身の真風涼帆様。キキちゃんのことを「芹香ちん」と呼び、スカステの番組内(2016年お正月のすごろくとか、2017年お正月の星組同窓会とか)で仲良し感が溢れかえっているゆりか様の元で、新たな魅力を開花させるキキちゃんを観たい気持ちもある。しかしながら宙組には、同期かつ順当に行けば次期2番手圏内の愛月ひかる様がいらっしゃり、ちょっと複雑な番手事情が予想される。宙組…どうなっちゃうの…。

 

退団者も新トップコンビも組替えメンバーも受け入れる組子達も、とにかく全員めちゃくちゃ幸せになってください!!という気持ちを短冊に書きなぐるしかない、そんな夜であることよ…。娘役さんのシャッフルもまだ受け止めきれてないけど…でも宝塚はひとつ…気を強く持って…応援していきたいなと思います…!!取り急ぎ、思いのたけをご報告まで!!

花組公演『Sante!!〜最高級ワインをあなたに〜』感想

 大劇場公演としてはメロディアぶりの洋物ショー!初回の観劇後は「花組のショーを観たな〜!!」と「藤井大介先生のショーを観たな〜!!」が同時に押し寄せてきて、とにかくワイン飲めるお店に行こう!サンテしよう!夜通し飲むの!とやたら盛り上がった思い出。公演グッズのワイングラス、いるのいらんの?とヅカオタを迷わせる、『Sante‼︎』の感想まとめです!(私は買いました)

 

序章 ル・ミリオー・ヴァン(最高級ワイン)

まず幕開けは5大ワインに扮した美女の登場から。銀橋に静かに出てくるデカめのシルエット。そう…これは演出・藤井大介ショー…藤井先生の好物といえば…男役の女装…!!というわけで、花組が誇る2番手以下の花男5人衆、芹香斗亜様(キキ)・柚香光様(かれー)・瀬戸かずや様(あきら)・鳳月杏様(ちなつ)・水美舞斗様(マイティー)が見事な女装でご登場。女装といっても元々は全員女性なので、一周回って普通に女性になるはず。しかし全員男役を極めつつあるせいで一周半ぐらいしてしまい、結果として女装感がハンパない。特にあきらはベテランのオカマ感がすごい。「アタシ、もうすぐ自分のお店を開くんだ」というところまで来てる。そんなあきらが好き…。一番かわいいのはマイティーかな〜!ギャルっぽい派手めな外巻き金髪が似合う!キキちゃんもかわいいけど、誘惑する時の目つきが男役でしたね…!

5人が「♪私を飲み干してくれる〜」とやや低めのコーラスで歌いかけるのは、セリ上に現れる酒の神・バッカスに扮した明日海りお様。葡萄とツタがいっぱいくっついた白いお衣装から、シャンパンゴールドとボルドーのお衣装に早替わりし、「サンテ!!」の掛け声で舞台転換、メインテーマへ!!

第1章 フルール・ブランシュ(白い花の香り)

大階段に並ぶたくさんの組子、主題歌の華やかなイントロコーラス、ビカビカに光り出す電飾!!何度観てもこの瞬間が楽しくてたまらないわけで!!藤井先生はショーが始まったーーー!って超ワクワクさせてくれるから好き…!!イントロ2回目の「♪シャルラ シャルラ シャラルララ」でみりお様が右煽って、左煽って、ポーズ!するとこが超かっこよくてドキドキするし、絶対スチール買おうと思ってたのになかった。東京公演で出るといいな〜。

今回の主題歌もイケイケキャッチーですごく楽しい。「ボンニュイ☆」とかはもう余裕で軽くキザれるみりお様、エキサイターを経て花男度がまたグッと上がってて最高〜!「熱いウィンクに〜」の指の振り、銀橋序盤の後ろ足を軽く蹴り上げる振りも好きなので、Blu-ray出たらいっぱいリピートしたい。歌詞も大介節全開で、「セクシー気分味わおうよ」「雨に打たれた孤独な子犬のようだ」とかのパンチライン。ショータイトルのSante‼︎はフランス語で乾杯!なので、歌詞に「君の瞳に乾杯」は予想範囲内でしたけど、「君の命に乾杯」まであって、さすが天下のタカラヅカ!私みたいなカスOL兼ヅカオタの生命にまで乾杯していただいて…痛み入ります…!

銀橋センターで少し絡んで、みりお様から新トップ娘役・仙名彩世様にバトンタッチ。娘役ソロが安心して聴ける嬉しさよ〜。ゆきちゃん→キキちゃん→かれー→あきらちなつマイティーと大好きなメンバーが次々に銀橋を渡る歌い継ぎは本当に楽しいし、入れ替わる時にエア乾杯してはけていくのが可愛い。赤いお衣装へチェンジしたみりお様が戻ってきてのサビの時点で花組のショーは最高〜!て気持ちが高まりまくっているのに、更に今回は客席降りがあるわけで!!2回目の観劇の時は和海しょう様とエア乾杯させていただけて、ノーブルな微笑みに超ときめいたし、「花組のショーは最高」メーターが一瞬で振り切れましたね…。

第2章 アロム・ド・フリュイ(果実の香り)

組子がはけて明日海りお様おひとりが銀橋に残り語りかけてくれる場面。「今宵は僕と♡(花組ポーズ)」のとこで客席からヒュー♡って声が上がる瞬間がめちゃくちゃ好き。みりお様がノリノリでキザってて、男役が本当に楽しいんだろうなって感じがして、客席もキザられてテンションがあがって自然に声が出てて、それを聞いてるみりお様も満足げで、完全にwin-win!さらに歌劇団事業部は収益が上がるわけで、いっそwin-win-win!!全員が得をするタカラヅカという事業、最高では!?公演を重ねるにつれヒュー♡が盛り上がってて、続きの「美味しいワインを飲み明かそう」を言いながら片手を上げて「まぁまぁ」って感じで客席をなだめたりする回もあって、めちゃくちゃみりお様だったし、毎回ほんとに幸せな気持ちになる。

ソムリエに扮した赤ワイン担当・美穂圭子様、白ワイン担当・星条海斗様と一緒に歌われる沢田研二さんの「あなたに今夜はワインをふりかけ」も、男役がクサく歌うのにぴったりで良かったな〜!

第6場で本舞台に戻るとそこはオシャレなバー。美穂圭子様と星条海斗様が交互に紹介してくれる色んなワインをどんどん飲み干すみりお様。この色んなワイン=色んな花娘なわけで!全員イメージぴったりで藤井先生と握手したい。フランボワーズのワインは音くり寿様と舞空瞳様、シトラスが城妃美伶様と春妃うらら様、ピーチが桜咲彩花様、オレンジが花野じゅりあ様。17歳→20歳→20代後半→30代半ばぐらいの感じかな、かわいいのもセクシーなのも、ほんと花娘はよりどりみどり!!キラキラのトップスターお衣装で猫背になって飲みまくる明日海りお様、最後の酔っ払いタイムでは「楽しいねぇ〜楽しいねぇ〜」とご機嫌バージョン、シクシク泣いてる泣き上戸バージョンと色々あってかわいいし楽しいです!

第3章 オドゥール・アニマル(動物の香り)

みんな大好きジゴロの場面!一般の方には「ジゴロて…笑」と思われがちだけど、タカラヅカでは割と頻繁に登場する現役バリバリの職業ことジゴロ!!スーツにソフト帽、赤リップのジゴロスタイルでクールに歌う芹香斗亜様。目元の影が最高!黄金比!と思ってるうちにどんどん増えるジゴロ。どうやら4つのグループが縄張り争いしてるようで。

肩についた雫を払うような振りが最高のダンサー柚香光様グループ!長い脚でグラビア座り&頷きコンボでお色気重視の瀬戸かずや様グループ!禁断の「フッ」で魔法にかける魔性の美貌、鳳月杏様グループ!そして実は「まともになりたァ〜い」と歌っていた芹香斗亜様グループ!以上4グループがしのぎを削るって…どんな街…全財産握りしめて通う…。

そしてそこへ満を持して現れる明日海りお様。圧倒的なオーラに灰になるっきゃない。ひとつひとつの振り付けが本当にかっこよくて、毎秒死にそうになる。最後には花組の伝統芸・「男役をズラッと一列に並べる」が繰り出され、客席で一言も声を発せず、しかし心の中できゃあきゃあ言ってるのを見透かすように「(人差し指立てて)シーッ」がくるわけで…振付の安寿ミラ先生…本当に有難うございます!!!!

 第8場、明日海りお様・芹香斗亜様・柚香光様以外の花男達がはけ、「そういえば背景の光るモヤシみたいなやつ、なんなん…?」と一瞬冷静になるのも束の間、高級娼婦(ベル・ファム)の仙名彩世様・白姫あかり様・朝月希和様のタコ足ドレスに目を奪われる場面へ。トリプルデュエットダンス、どの組も見たい〜ってめちゃくちゃアワアワする。するけど結局毎回みりゆきペアばっかり見ちゃう。ジゴロと高級娼婦の駆け引き…みりお様のオラオラ感とゆきちゃんのツンとしたレディ感の真っ向勝負…緊張感ある大人のデュエットダンス、みりゆきコンビの魅力のひとつを堪能できました!

第4章 サントゥール・デピス(香辛料の香り)

「フランス料理のフルコース」をテーマにした中詰。まずはお貴族衣装の夕霧らい様・梅咲衣舞様が晩餐会へ向かう銀橋わたりから。花男イチの濃度を誇るらいらい、小芝居の女神イブ氏は今回で退団されるわけで…寂しい…と客席がしんみりしないよう、明るく楽しく歌いながら銀橋を渡り、「メルシー!」と客席にとびきりの笑顔を見せてくれるお二人。退団者にきちんとこういう場面を作ってくれるのは本当にタカラヅカの温かいところだと思う。

第10場、フルコースの前に厨房へ。シェフの柚香光様とアシスタントの城妃美伶様と若手男役さん達の場面。しろきみちゃんのコック帽&おさげがめちゃくちゃかわいい〜。長くつ下のピッピみたいな、毛先が上向きのおてんばおさげ!ちょこまか動くのも合わせて、100点満点のキュートっぷり!若手男役さんの中ではおたま担当ではしゃぎたおしてる亜蓮冬馬様が好き!

第11場からいよいよ始まるフルコース!まずはオードブルの男Sことサラダの瀬戸かずや様のかけ声から。袖口にレタス、ではなく鮮やかなグリーンのフリルがあしらわれたサンバのお衣装。そして歌うのは『モン・パリ』誕生90周年ということでパリ推しのパリメドレー!前菜の次は黄色のフリル・ポタージュの星条海斗様と花野じゅりあ様。「♪パリ 可愛いブロンド」「可愛いブロンド」の掛け合いの説得力よ…!続いて水色フリル・魚の芹香斗亜様。銀色のラメラメした布地でより一層の青魚感。ピチピチと爽やかに「♪ラパ〜ラパッパ〜ン」と銀橋を渡っていくキキちゃんがなんかすごく愛せる!自然と手拍子もおこるよね!

待ってましたのメイン料理、お肉の明日海りお様と仙名彩世様。美穂圭子様のお歌が始まった時点で、お肉の中でも熟成肉では…と思えるムーディーな雰囲気の中、回るセリ上でのデュエットダンス。ここはどちらかというとゆきちゃんがみりお様に縋るような雰囲気。ヘアバンドの内側の凝った編み込みがとても綺麗で、ゆきちゃんのそういうセンスの良さが好き…!!

お肉デュエットがセリ下がった後は、紫フリル・フロマージュ(チーズ)の水美舞斗様が銀橋渡りながらの『パリ野郎』、ピンクフリル・アントルメ(デザート)鳳月杏様の『パリ・ジュテーム』。「♪この街に〜裏切られて〜」という歌詞をめちゃくちゃ笑顔で歌うちなつがなんか面白くて毎回見ちゃう。

第12場はロケット!今回のロケット、フレンチカンカンなお衣装が可愛いし、何より柚香光様のロケットボーイがハチャメチャに楽しそうで最高ですね…!すっごくのびのびやってるように見えるし、セリ上から指示を出すところ、自分もお尻をフリフリするところ、カンカンガール達と同じテンションで「キャー!!」って叫ぶところなどなど、見ていて本当に楽しかったな〜。

第13場、中詰のシメはもちろん明日海りお様が再登場しての『モン・パリ』。トップスターといえど、いやトップスターだからこそ女装させたがるのが藤井先生…明日海りお様とて例外ではなく、シルバーのぴったりしたロングドレスにやたら高さのある黒の頭飾りでご登場。麗しの思い出…モン・パリ…じゃなくて明日海りお様の女装…。みりお様、みんながはけた後も銀橋センターに残るので、なにかしてくれるのかな〜と思ったら特に何もせず、ただ時間差ではけていった。せっかくの女装なので、ちょっと長めにガン見させて下さっただけ…?ありがとうね…?

 第5章 エルブ(ハーブの香り)

まだまだ続く女装祭り、ソリスト・瀬戸かずや様と今公演2回目の女装でプリマ・水美舞斗様のアグレッシブなガチバトルラブ・デュエットダンス!マイティーは「魔性の女」という役どころらしいけど「筋肉爆発レディ」の方が正しくない?「♪神秘的な唇(バ・バ・バン!)」のとこの、胸の前で手を開いて閉じて開く!の振りがめっちゃ好き。あとサンテ観劇済みの友人の前でやると超ウケてくれるのでおすすめ。ほんとにもう…あきらとマイティーで濃厚デュエットダンスとか…なんなん…横でシャバダバ歌わされてる和海しょう様の気持ちにもなって…?歌声最高、あきマイのドヤ顔も最高…早くBlu-ray出ないかな…!

 第6章 オドゥール・ドゥ・トレファクシオン(ローストの香り)

 美穂圭子様がエディット・ピアフ、星条海斗様が恋人のマルセル・セルダンに扮したストーリー仕立ての場面。ナイトクラブで「愛の讃歌」を歌う美穂圭子様。ムーディーな雰囲気の中、寄り添って踊る数組のカップル達。天真みちる様と菜々くらら様とか味わい深いな…と思っていると、駆け込んでくるマルセル!ステージを駆けおりるピアフ!抱擁!周囲はストップモーション!バラの花束を渡し、笑顔で出ていくマルセル!そして聞こえてきたのは飛行機が飛び立つ音と爆発音…!!店出て5秒で撃墜!?えっ店まで戦闘機で来たの!?と初見時は分からなくてびっくりしてしまったけど、セルダン氏の飛行機事故のことを表現しているわけで。爆発の後、花束を抱きしめながらアカペラで愛の讃歌を歌う美穂圭子様はさすがの一言に尽きますね…。

 第7章 スー・ポワ(土の香り)

上手の壁に向かって落ち込んでいる、きれいなヒッピーこと芹香斗亜様。ひとりロードオブザリングかな?というローングな金髪オールバックスタイル、正直超好み!どうやら吟遊詩人なキキちゃん、人々が憎しみと争いに支配されている世を嘆いているようで。柚香光様は天使ちゃんの片羽をむしっちゃうし、さっき濃厚ラブしてた瀬戸かずや様と水美舞斗様も喧嘩してる。ぱっと見、兄弟喧嘩っぽくてちょっとかわいい…そういうのじゃないって分かってるけど…。そんな殺伐とした世に現れた、真っ白なモケモケ貫頭衣みたいなのを着てイバラっぽい冠をつけた明日海りお様。そう、これはジーザス・クライスト=スーパースター@TAKARAZUKA!!四季さんでいう「このワインは私の血潮」案件にインスピレーションを得た場面とのこと。ヅカ版なのでみりお様のイバラの冠はちょっとお花も咲いてます。だってみりお様が美しいから…。キキちゃんが「あなたが犠牲になることはない」と歌って止めるとこ、結構な高音だけどすごく綺麗で良かったな〜!神様なみりお様は荒れる花組子達の中へ飛び込んで、ちなつには平手打ちされ、あきらには膝蹴りされ、とさんざんな迫害を受けてついには命を落としてしまうわけで…!

続く第18場、静寂の中、歌い出す音くり寿様の声が本当に心が洗われるようで…聖歌だと思うけど、曲名が知りたいな…。そして復活するみりお様、「飲み干せ命の水!ワイン!」みたいな明るくエネルギッシュな曲で改心した組子達と全員で爽やかに踊りまくる、よくあるやーつ!!個人的なオススメは改心して踊り出してから全員でジャンプするところで、センターで超フレッシュにジャンプしてる最年長・高翔組長です!

第8章 フェルマンタシオン・マロラクティック(乳酸発酵による香り)

プロローグで5大美女に扮していた5人が今度は男役姿のままで同じメロディーを。歌詞の内容は女装時とは変わっていて、男役としての5人それぞれの目指す男役像みたいなのを感じさせてくれるのが嬉しい。あきらの「大人の色気」とかちなつの「愛に生きたい」とか。マイティーは「完璧な紳士」だったかな?「誇り高き紳士」でした!毎回見るたびに、今のこのトップ下5人の布陣が本当に本当に全員大好き…花組にいてくれて有難う…という気持ちで胸がいっぱいになる場面。

続いて第21場は仙名彩世様率いる娘役さん9人が羽根&ダルマの超素敵な場面!ゆきちゃんがその歌唱力を生かして、ちょっとアレンジされた主題歌を歌ってくれてめちゃ可愛いしかっこいい!「♪夜通し〜飲むの!」とか花金夜22時の酒豪OLみたいなこと歌ってても可愛い!最高!これは完全に好みかどうかの話だけど、私はゆきちゃんの輪郭がはっきりしてるまるい声が好きなので、それが聴けて嬉しい。高速での銀橋駆け抜け、最後の「シャルラ♡」ウィンクまで完璧にやり切るゆきちゃん、とってもかっこよかったよ…!

 第9章 フルール・ルージュ(赤い花の香り)

今回の黒燕尾が藤井先生の過去作品『Cocktail』の黒燕尾ということが分かったとき、すごく嬉しかった。匠ひびき様の退団に際して作られた、飾りのないシンプルな黒燕尾で踊る、その完成度の高さ。匠ひびき様のファンの方にとっても大切なナンバーを、今の花組でやらせてくれたことが本当に嬉しい。明日海りお様が大階段でひとりライトを浴びて踊る姿に、男役トップスターとして、こんなに美しい瞬間があるということに毎回ぐっときて泣いてしまう。退団する夕霧らい様とみりお様がひととき並んで踊るところもすごくいい。花男として生き抜いたらい様にふさわしいラスト燕尾。派手にたくさん踊るわけじゃないけど、ひとつひとつの振りから「花男の誇り」「花男の矜持」というものが強く伝わってくる、本当に素晴らしい黒燕尾だった。自分の目で見られたことをとても幸せに思うし、この今の感動をずっとずっと忘れないだろうなぁと思う。

 第23場、安寿ミラ先生が新トップコンビお披露目の為に作って下さったデュエットダンス。明日海りお様もスカステの番組(ナウオン)で言及されてたけど、下手のみりお様の方へクルクル回りながら近づいていって、その真正面でぴたっと向かい合うように止まるの超難しそう…ゆきちゃんの技術力に乾杯したい…!ふたりが出会い、一緒に踊り、一度離れたゆきちゃんに向けてみりお様が大きく腕を広げ、そこにゆきちゃんが飛び込んでゆく…というお披露目デュエットダンスならではの初々しい流れで、でもどこか大人っぽくて、とても良いデュエットダンスだったな〜!みりゆきの未来に幸あれ〜!

終章 Sante!!(最高級ワインをあなたに)

このサンテ!で久しぶりに花組を観たご贔屓が北翔海莉様の友人に「花組のショーってすごいね!パレードのお辞儀の後にもウィンクがきた!」って言われて、確かに…瀬戸かずや様はしてくれる…オペラで見るのクセになっちゃってるもんな…他にもいるのかな…と思って観てたら、天真みちる様がされてましたね!たそ〜!みんな大好きたそ〜!!気になるので他にもお辞儀ウィンクしてる組子がいるのかチェックしたい所存!あと今回はゆきちゃんの頭飾りがまさかのボトル7本?8本?で、気合いが漲ってたな…そりゃ二度見もされるよね…!最後の最後に明日海りお様がセンターでセリ上がって、シャンシャンのワイングラスで思いっきり飲み干す振りをしたりしてて、ご贔屓が楽しそうで私達も嬉しい!!という最高に楽しい気分で終演〜!!藤井先生、有難うございました!!

 

なんとまさかの7000字を超えているわけで…だって心に残ったポイントが多かったから…!セクシー気分を味わいたい方、美しい黒燕尾が観たい方、「最近、自分の命に乾杯してもらってないなぁ…」という方は是非!劇場へ!足をお運び下さい!!

花組公演『邪馬台国の風』追加されたセリフと場面の報連相

6月4日に初観劇して先の感想をしたため、6月10日に2回目を観に行ったところ、休演日をはさんでセリフとプチ場面が追加されてたわけで…!中村先生…!お稽古段階で気づけやーい!

以下、追加されてたところです。私が気づいた分なので、他にも増えてるかもしれません。

 

・お師匠様より念押しメッセージ

第三場にてクコチヒコに斬られたお師匠様、戻ってきたタケヒコの腕の中で生き絶える前に「クコチヒコ、クコチヒコだ…!」と自分を斬った男の名を念押しするセリフが追加。大事なことなので2回言うやつ。※正しくはお師匠様が「クコチヒコ」、タケヒコが「クコチヒコ」と復唱でした。これにより、襲われてる現場に居合わせなかったタケヒコにもお師匠様の仇が「狗奴国の兵」ではなく「クコチヒコ」としっかり認識でき、タケヒコとクコチヒコの因縁というか対立軸が強化された。「お師匠様の仇を客席は知ってるけど、タケヒコ自身は知らない」という状況が解消されたのは良かったな〜。だってその方が、演じる明日海りお様としてもきっとやりやすいと思うから…!

・アシラよりメンバー紹介

第五場A、山を降りたタケヒコがアシラを訪ねる場面。初見時は唐突に「あと1人!あと1人だ!」というアシラのセリフから始まっていて、「?何があと1人?」という謎解きスタートしてたところにもセリフが追加に。きちんと「狗奴国の砦へ向かう者は5人、フルドリ!ツブラメ!イサカ!あと1人だ!」とメンバー選抜中であることがアピールされ、謎解き不要に。良かった…!アシラことちなつの良い声もちょっと多めに聞ける…!

・フルドリよりラブちら見せ

同じく第五場A、狗奴国の砦へ向かう道すがら仲間を紹介してくれるフルドリにも追加セリフが。イサカちゃんのことを話す際、「ツンツンしてるけど本当は優しいやつだ。俺は知ってる。」とやや恋心を匂わすように。

・タケヒコとイサカとお花とフルドリ

第五場AとBの間にプチ場面が追加。クコチヒコとタケヒコの銀橋対比ソングと、次期大巫女オーディションの間ですね。上手側舞台端にお花を手に出てくるイサカちゃん。そこへ通りがかったタケヒコ。花を摘んでたのか、と聞かれて、「狗奴国との争いの中で死んだ弟と妹の為に、川に流すんだ」と静かなトーンで話すイサカちゃん。しゃがみこんだ彼女の隣に同じように腰を下ろし、「弟と、妹か…」と労わるようにイサカの背に手を添えるタケヒコ。ややぎこちなくて、ちょ、なんで急に肩抱いたし!?ってなったけど、そんなタケヒコみりお様もめちゃくちゃ可愛いしレアなのでオッケー!でもきっとどんどん自然になってくるんだろうな…。初々しいタケヒコ様も好き…でも手練れになってもそれはそれで絶対好き…。イサカちゃんにとってタケヒコがちょっと気になる存在になった、ということを印象づける場面として成立させたのは、さすが安定のしろきみちゃん!!そしていい感じの2人を見つけて走り去るフルドリ、というベタ・オブ・ベタなやつも行われておりました。あと場面がいっこ増えた分、暗転もいっこ増えました!

・フルドリよりラブ全部見せ

第九場、「フルドリのラブソング(相手が誰か考えながらお楽しみ下さい)」についても、解消するセリフが追加に。歌い出す前に、手にしている弓について「新しい弓、イサカは気に入ってくれるだろうか」的なひとりごとが増えてて、その弓、イサカへのプレゼントだったんだね…普通に武器の手入れしてるのかと思ってた…。そして歌った後、イサカとの会話の中で弓をプレゼント。これで一件落着、かと思いきや…!これによって新たなつっこみポイントが!!

なんとその弓、祭りに乱入してきた狗奴兵を倒す次の場面でタケヒコが使っているわけで!まさかのフルドリ→イサカ即タケヒコ…?イサカちゃん、完全に新入荷した武器としか思ってなくて、見回りに行くタケヒコに渡しちゃってない…?フルドリ…泣いてない…?とか心配になるので、弓を是非もう1種類ご用意下さい…!!

 

追加に対応する花組子達に心からサンテ!!!!次に観に行ったらまた何か変わってるのかな…えっ…チケット追加しちゃう…?という、ある意味気になる邪馬台国。やいやい言いつつ、千秋楽まで見守ろうと思います!がんばれがんばれ花組子!!

花組公演『邪馬台国の風』感想というかツッコミどころあれこれ

トップ在任中、一度はくるかと覚悟はしてたけど、いよいよ私の愛するご贔屓にもトンチキ作品が回ってきてしまった。先週末、不安を胸に観てきたところ、まーーーー暗転とツッコミどころの多さたるや!!そして山場の少なさたるや!!山も谷もない道じゃつまらない!ジェットコースターにならない!!演出の中村先生、安室ちゃん100回聴いて出直そ??組子は頑張ってたし、明日海りお様は古代でもお美しかったです。

ただもう、DVDが発売されて友人とヤイヤイ言いながら見たら逆に楽しいのでは…?と感じるぐらいツッコミどころだらけだったので、備忘録的にまとめておきます。ネタバレしているのでご注意下さい。

 

第一場 倭国の空(プロローグ)

邪馬台国の兵士と、敵対する狗奴国(くなこく)の兵士の群舞。その中で明日海りお様演じるタケヒコがおそらく主題歌っぽいものを歌うけど、曲が全く耳に残らない。というか全幕通して「ホワワ〜ン古代ファンタジーどす〜」みたいなフンワリした曲が多かった。ちなみに戦を表現した大人数での群舞、後半の山場と繋がってるのかな〜と思ってたけど、なんとここ以外で大人数での立ち回りはありません。まさかのプロローグがMAX。といってもそんな血湧き肉躍る感じでもなく…同じような手法でも『桜華に舞え!』はもっとかっこよかったのにな…。

第二場 李淵とタケヒコ〜第三場 森の小屋

狗奴国の兵に両親を殺され、ひとり逃げまどっていた少年タケヒコが高翔組長演じる李淵(りえん)に助けられるところから本編スタート。背を向けて何かをしている師匠に弟子が挑むも、軽くいなされるお決まりの流れの後、なぜかいきなり「煮え立つ湯の中に手を入れる」という一発芸を披露するお師匠様。びっくりするタケヒコ。「どうやったか、考えてみなさい」と言われたタケヒコ、「うーん…。…。ヤー!(棒術の練習再開)」って考えへんのかーい!!

客席がずっこけてる間に、棒を突き出す練習をしながら、徐々に袖に入っていくタケヒコ。タケヒコだけが完全に隠れ、一瞬、袖に刺さった状態で宙に浮いている棒。まさか、と思った瞬間、青年タケヒコが「ヤー!」つって出てきましたよね…。入れ替わり方もある意味古代。直後のお師匠様の「お前はあっという間に大きくなったなぁ!」に笑いが起きる客席。しかし笑いを取るセリフではないっぽいのが微妙なとこで、いっそ李淵師匠も一瞬でハゲるとかしてくれたら思いっきり笑えるのに!と母に愚痴ったら、「宝塚でハゲはちょっと厳しい」とのことでした。そんな李淵師匠、タケヒコになぜか剣をくれます。幼い頃から叩き込んだのは棒術なのに…なんでなん…。

第四場 森の中

タケヒコが爽やかにはけ、ひとりになったお師匠様のところに芹香斗亜様率いる狗奴国の兵士が登場。今回のキキちゃん演じるクコチヒコ、全体的にダークなビジュアルでめちゃくちゃかっこいい。かっこいいクコチヒコ様、従わないお師匠様を斬ってしまわれます。そして帰りに銀橋で一曲歌われる際、クコチヒコが舞台下手端で振り返る→配下の狗奴兵6名がスッ(しゃがむ)みたいなのがあって、なんなんその「ほな、歌うから」「御意!」的な阿吽の呼吸…狗奴国、仲良し…。

 お師匠様の死に慟哭するタケヒコ様(美しい)を経て再度の森場面、邪馬台国へ向かう途中の仙名彩世様演じる少女マナと護衛の邪馬台国の兵士達に、またもやクコチヒコ達狗奴国の兵士が襲いかかる。そこへ颯爽と現れ、棒術で蹴散らすタケヒコ。ほら〜!剣使ってない〜!!

出会いのやり取りの中で、今度はマナがタケヒコに勾玉のネックレスをくれます。これが後に重要なアイテムに…なれば良かったのにな…。そしてちょうどよく現れる邪馬台国の兵士の長、鳳月杏様演じるアシラ。この方が助けてくれた、と紹介されたタケヒコを兵士に勧誘するも、「いずれ山を降りる」とのこと。タケヒコ、なんかやることあったっけ…??

第五場A 邪馬台から狗奴の砦へ

暗転して邪馬台国の兵士達の稽古場、兵士に志願しにやってくるタケヒコ。て、めっちゃすぐ山降りたね!?さっき一緒に来たら良かったのでは…なんでちょっと焦らしたん…。即仲間になり、即狗奴兵の砦へ向かうタケヒコ。文字通りの即戦力採用。一緒に砦に向かう主なメンツは、花組3番手・柚香光様@フルドリ!昔フルドリを助けた際に喉を負傷し声が出ないイケメン水美舞斗様@ツブラメ!美少女顔で男まさり、城妃美伶様@イサカ!顔採用チーム?ってぐらい全員キラキラしてる〜!ちなみに砦はイサカちゃんが矢を2本射かけただけでメラメラ燃えてたので、藁で出来てたのかもしれません。「このイサカ様を〜」とか言うタイプの女戦士をやってるしろきみちゃんが新鮮で良かったので、まぁいっか〜!

第五場B 大巫女の祈り

専科からご出演の歌ウマ女王・美穂圭子様が大巫女様、居並ぶ巫女達から新しい大巫女を選ぶ場面。マナの仙名彩世様を見つめて、「この娘が次の大巫女となるのか…」と月影先生ばりのモノローグかましてくれました。

第六場 邪馬台国の女王・第七場 タケヒコとヒミコ

ついにヒミコになったマナ。上手の花道から、「女王ヒミコ?あれはマナだ!」て超びっくりしてるタケヒコ。その隣で「マナ??」て全然ぴんときてないアシラ。いやいや!自分が森から邪馬台国まで連れてったよね!?てアシラにびっくりしてる客。でも分かってないアシラちなつはなんか可愛かったな…。

第八場 アケヒと奴王ヨリヒク

アケヒ・花野じゅりあ様の美貌とキャラとラスボス感が凄い。劇団新感線にいそう。ヨリヒク・瀬戸かずや様もお衣装豪華でかっこいいし、美女とイケメンな二人が狗奴国にも通じつつヒミコ失脚の悪だくみしてて、色々濃い〜!最高〜! 

第九場A フルドリ・B 祭り

村の女子・トヨの誘いを断ったフルドリがおもむろに片思いっぽい歌を歌う場面。えっ…相手、誰…?全然そういう場面やセリフなく歌がきたので、フルドリの片思い相手が誰だか分からない。もしやヒミコ?まさかのタケヒコ?歌詞に耳を澄ますも、「黒い瞳〜♪」て、全員やん!!みたいな。結局歌のあとそういう場面があり、イサカちゃんだと判明したものの、じゃあ歌の前にやって欲しかったな…。

第十一場 タケヒコとアケヒ(兵舎)〜第十二場 ヒミコとタケヒコ

アケヒの罠とも知らず、手引きされるままヒミコのお部屋を訪れるタケヒコ。その現場を押さえられ、「神聖な巫女が男子(おのこ)を近づけるとは!女王失格!」と大騒ぎに。それでは聴いて下さい、『ヒミコ様が男子を帳(とばり)の中に侍らせた』の歌!めちゃくちゃそのまんまの歌詞を、しかも2回目は侍らせた→入れられたに変更しただけのやつを歌わされる瀬戸かずや様の気持ちにもなって…。私だったら渡された譜面を二度見しちゃうな…。

 第十三場 ヒミコ糾弾〜第十四場 盟神探湯

「ヒミコに会ったのは裏切り者の可能性について進言する為」とのタケヒコの言葉に焦った裏切り者ことヨリヒクによって、タケヒコはクガタチをすることに。クガタチとは盟神探湯と書く古代の裁判方法で、罪人とされる人が煮え立つ湯に手を入れ、火傷なし→神の加護あり・火傷→神の加護なしと判断されるもの。というこの内容も、花組の歌の女神・芽吹幸奈様が歌ってくれるわけで…「手には〜火傷が〜」みたいな…これもダサ歌詞譜面二度見案件…。

お気づきの通り、お師匠様の一発芸を知っているタケヒコはあっさりクガタチに勝利。お綺麗なままのおててを皆に見せてくれるタケヒコ。「わ〜!すご〜い!」みたいにびっくりしてる村人のリアクション、完全にパラフィンパック後の女子。そしてここでも「奇跡!奇跡!」みたいなダサ歌詞曲その3が歌われるわけで。ちなみに奇跡のタネについては、「水と薬草が役に立った」ぐらいのフンワリさでしか言及されず。水と…薬草で…?無理じゃない…??

 第十五場 ヒミコの寝所

一件落着と思いきや、今度は大変、祈りが神に届かなくなってしまったヒミコ。神の声も聞こえないとのこと、ヨリヒクはここぞとばかりに「神の怒りを買った!その身を神に捧げよ!」とヒミコ処刑を宣言!わっる!ヨリヒクわっる!クコチヒコどこ行った??

幽閉されたヒミコの側に使える音くり寿ちゃん。「ヒミコ様、何かお召し上がりになりませんと…」のセリフといい、完全にロザリー@ベルばら。ヒミコさまの御髪が真っ白になってるのではと二度見しちゃいましたね…。そこへやってくる明日海フェルゼン、ではなくタケヒコ。幽閉といいつつ、警備はゆっるゆるの模様。力を失ったと嘆くヒミコに「女王とかやめよ?ただの女になって一緒に暮らそ?」と持ちかけるタケヒコ。「お粥作るね…」と割と乗り気のヒミコ。ところがどっこい、鈴の音!ヒミコに神のお告げがあり、渓谷に狗奴国の大軍が攻めて来ているとのこと。渓谷まで行って確かめ、ヒミコが処刑される明日の朝までに戻ってくる、そうすればヒミコの力が失われていないことを証明し処刑をやめさせることができる!夜通し走り続ければ間に合う!と仲間4人と出立するタケヒコ。ゆけゆけタケヒコ!!

 第十八場A タケヒコと仲間たち〜C タケヒコのクコチヒコ

暗転し、森の中。仲間4人のうち2人が「もぅマヂ無理。っかれた…」と地面に転がっている衝撃…。ちゃんと渓谷まで行ってお告げの正しさを確認したタケヒコと合流し、よし帰ろう!というところでクコチヒコたちが立ちはだかる!クコチヒコ、なんか久しぶり!!タケヒコを逃がそうと必死に戦う仲間達ですが、ひとり、またひとりと倒れ…ついにクコチヒコと対決し、辛くも勝利したタケヒコも、地面に倒れ、立ち上がることもできない状態。そんなタケヒコを励ますように、それぞれピンスポで照らされて死んだ仲間が語りかけてくるわけで、生きてる間は声が聞けなかったツブラメの「立ち上がれぇー!!」の絶叫はちょっとグッときちゃったな…ベタだけど…。同じくグッときつつ、立てないタケヒコ。結局アシラが迎えに来てくれて、ようやっと邪馬台国へ向かいます。

 第十九場 邪馬台の宮

邪馬台国ではまさにヒミコの処刑の朝。自分の命に代えても、と神意を伝え出兵を促すも、「処刑の後で出兵する」と取り合わないヨリヒク。そこへタケヒコが戻り、ヒミコの言葉が真実であると証明され、ざわめくヨリヒクと諸国の王達。また鈴の音が鳴り、「全てが闇に包まれる」と日蝕の予知で畳みかけるヒミコ!日が欠けてきた!と慌てる面々!「ヒミコを処刑しようとしていることに対する神の怒りだ!今ならまだ間に合う!」とめちゃくちゃ煽るタケヒコ!!舞台上がだんだん暗くなっていき、ついに闇に…と思いきや、光の粒がきらめいて…とってもコスモな空間に…!!

第二十場 邪馬台国の風

暗転し、村の外れか森の中のような場所に二人で立つタケヒコとヒミコ。怯えた諸国の王達が「ヒミコに従います」宣言した後にいい感じに日蝕が終了し、ヒミコは女王に返り咲き、狗奴国との戦にも勝利した模様。狗奴国との総力戦、まさかの事後報告のみとは…。タケヒコは(そういえば)お師匠様の故郷だった魏の国へ渡り、ヒミコは邪馬台国の女王として生きるとのこと。花びら舞い散る中、別れを惜しんで歌う2人を眺めつつ、『マナにもらった勾玉のネックレス…マジで特に使い道なかったな…』と思ってるうちに幕となりました。

 

一回観ただけでこれだけ気になるところがある芝居も昨今なかなか珍しいのでは…?という気持ちでいっぱいだけど、明日海りお様の古代ポニーテール姿とショーを心の支えに手持ち分は観に行く所存です。みんなビジュアルはいいのにな…。

とりあえず今度友人と集まる時は鈴を持っていって、誰かがチリン…と鳴らすたびに「ハッ!!」って床に倒れる神意ごっこをしようと思う次第。「湯気の立つラーメンが見える…!(ラーメン食べに行こ)」とかやりたいな!!

 

ちぎみゆ退団公演・雪組『幕末太陽傳』を観て、「トップコンビ」というものについて考えた

先日、雪組公演『幕末太陽傳』『Dramatic “S”!』を観劇してきた。トップコンビ・早霧せいな様と咲妃みゆ様はじめ、大切な雪組生が合計7名も卒業してしまう涙の退団公演である。つらみしかない。

とはいえそこはさすがの早霧せいな様、カラッと明るく爽やかなお人柄にふさわしく、たくさん笑って元気をもらえて、少しほろっとする人情コメディだった。軽妙さというか、肩の力の抜けた感じで笑いを誘いつつ、優しく語りかける時はめちゃくちゃ心をあったかくしてくれる。最高。私も相模屋で働きたい。わちゃわちゃした雪組生に囲まれて賑やかに日々を送りたい。

ショーは王道の退団ショーと言ってしまえばそれまでだけど、「ドラマティック!エスエス!」と早霧せいな様のイニシャルを叫びまくる主題歌にはじまり、トップコンビのダンスを堪能できるブライアント先生のかっこいい振付場面、次期トップコンビがメインの場面、雪組恒例の『絆』をモチーフにした場面、男役の黒燕尾に白いお衣装でのデュエットダンス、「私の好きな人のイニシャルはエス〜♪」と咲妃みゆ様の公開のろけ歌銀橋渡りと盛り沢山で、最終的にポロポロ泣いた。とてもいいショーだった。後ろの席の方々も号泣してて、「めっちゃ泣くやん!こんなんあと12回も観るの無理じゃない!?」とのこと。12回、存分に泣いて下さいね…。

 

ところで私のご贔屓は麗しの花組トップスター・明日海りお様で、贔屓組も花組である。であるけれども、私は雪組トップコンビ・早霧せいな様と咲妃みゆ様、通称「ちぎみゆ」が大好きでもある。もう見るたびニコニコしちゃう。2人が並んでると無条件に嬉しい。ゆうみブレイクは毎回鬼リピしている。

どこがいいかと聞かれると、2人の相性の良さとかお互いへの信頼感からくる雰囲気の良さがとにかく最高!という意味での「ラブラブ感」がとてもいい。ただ、何となくこの表現に引っかかるものを毎回感じてもいる。それは自分がどこかで、「まぁ2人とも女性だけど」とか「ヅカオタじゃない人からすると、男役・娘役の組合せをカップル扱いする見方に引いてしまうところもあるのでは」とか考えているからだと思う。

ヅカオタの中でも色んなタイプがいて、男役を理想の男性として好きな人、「男役」というファンタジーとして好きな人、ただ美しいものが好きな人と様々なわけで。例えば私は明日海りお様がご結婚されたら超祝福するし、さぞ美しいだろう花嫁姿がめちゃくちゃ見たい。どうにかして見たい。近しいOGジェンヌ様のインスタとか超チェックする。一方で友人の中には男役の結婚とか超ショック、本名とかも知りたくないタイプもいる。十人十色の「好き」がある中で、私は男役も娘役も「夢を叶えた、もしくは夢に向かって頑張っている同じひとりの女性」として好きで、応援しているところが少なからずある。畏れ多くも。ヅカオタにだけ年齢がバレるけど、私は中卒合格してたら88期なので、心の中で88期の皆様を勝手に同期だと思っていたりする。88期が活躍してると嬉しいし、退団しちゃうとめちゃくちゃ寂しい。これはヅカオタあるあるですよね…?

話がズレたけど、そういう視点の私から見たタカラヅカにおけるトップコンビの素晴らしさとは何かをじっくり考えてみた、というのが本日の主題です!

①男役も娘役も、コンビでいるからこそ発揮される魅力がある

言わずもがなトップスターはその組の男役の頂点に立ち、トップ娘役は娘役の頂点に立つ。それぞれその素晴らしさを認められた最高のふたりなので、単体でも魅力的なのは間違いない。ところがコンビになると!そこに「相手役に対してどうであるか」という魅力が上乗せされるのである!!

ちぎみゆで言うと、ちぎさん(早霧せいな様)のゆうみちゃん(咲妃みゆ)への態度は、雪組副組長の奏乃はると様曰く「思春期の中学生のよう」(宝塚GRAPH 2015年9月号)。ゆうみちゃんが司会を務める番組コーナーで、わざわざ2番手・望海風斗様と2人でハートマークを作って、「こっちの方がラブラブだから〜」みたいな分かりやすいことをする。と思えば雑誌の単独インタビューではゆうみちゃんをベタ褒めしていたりする。そして対するゆうみちゃんも、歌劇のポート撮影にちぎさんからプレゼントしてもらった帽子を持って臨んだりする。こういった一つ一つが、舞台上とはまた違った「男役・早霧せいな様の魅力」であり「娘役・咲妃みゆ様の魅力」なんだと思うし、それが見られるのは相手役がいてこそ。ちぎみゆは特にこういうエピソードがたくさんあって楽しいな〜!!

②女性同士のバディ、運命共同体としての魅力がある

例えが古いけど『ナースのお仕事』の朝倉いずみと尾崎先輩や、最近読んだ小説『書店ガール』の西岡理子と小幡亜紀のような女性コンビが好きなので、その観点から見てもトップコンビは最高である。男役の方が学年が上なので、トップコンビは先輩・後輩の間柄でもある。出身地も年齢も違う2人が、同じ「舞台人」として互いに切磋琢磨してより良いコンビを目指すわけで。片方は男役、もう片方は娘役という、それぞれのプロフェッショナルな部分を持ち寄って最高のコンビになろうとしている。なんせトップコンビは組の看板とも言えるので、その責任を担う2人はある意味で運命共同体といえるんじゃないかと思うし、私はそこにめちゃくちゃ物語性を感じてしまう。

これもちぎみゆで言うと、2015年のレビュー本でのちぎさんインタビューがとても良かった。

「常々、彼女には、ふたりの雰囲気が雪組の雰囲気になって、みんなに影響するから私たちの空気感を大切にしようねという話をしています。彼女はそれをちゃんと理解してついてきてくれているので、とても頼もしい相手役です。」(TAKARAZUKA REVUE 2015)

これ。これです。このふたりでひとつのことを担っている感…そして後半のちぎさんのフラット感…!読んだ時に、ちぎみゆはいいトップコンビだなぁと思ったのを覚えている。

 

結論として、男役・娘役としての魅力が多角的に&より強く発揮されるのがトップコンビの素晴らしさであると思う。男役は娘役を愛してこそ、娘役も男役を輝かせてこそ!そういう意味でちぎみゆはほんとうにパーフェクト!!

あとはもう、男女とか女性同士とか細かいことをすっ飛ばして、人としてお互いを大切にしていて気持ちが通じ合っている人同士の関係は見ていて幸せになるよねっていう、そういうことです。ちぎみゆに幸あれ!!!!